「○○ビジネスは利益が生まれにくい」というのは優先順位の問題なのでは?という話

「宇宙ビジネスは利益が生まれにくい」

よく事業開発の現場では「○○ビジネスは利益が生まれにくい」という話を聞きます。

例えばIT業界では「人だしビジネスは利益が生まれにくい」と言われたりします。SESなどはこの類かもしれません。

この中のひとつに「宇宙ビジネスは利益が生まれにくい」という命題がありますので、今回はそれを例にして考えてみましょう。

確かに利益率は低いけれど

「宇宙ビジネス」と言われる取り組みを色々と解きほぐしてみると、確かにどう計算してもそんなに利益出ない案件が多いです。
営業利益で言えば、良くて5%、平均3%ぐらいではないかと思います。

ですが、利益率が低いからこのビジネスをやめよう、というわけでもなさそうです。

そのうち、「あ、ビジネスの優先順位が違うんだ」と気付きます。

売上や利益よりも、解き明かしたい科学的な謎や、開発したいモノ・コトや、克服したい社会課題の方が、ビジネスの優先順位が高いのではないか、と気付くのです。

だから、単に優先順位の問題であって、「宇宙ビジネスは利益が生まれにくい」というわけではなくて、利益を生もうとする行為に力を注いでこなかっただけではなかろうか、という気がしてきます。

また別の観点で、「宇宙は人類共通の財産であるからそこで儲けを得ることはおこがましい」的な思想が一定数存在するようにも感じます。

私も何度かそれに近い話を聞いたことがあるのですが、宇宙をそんな高尚なものだと思ってるからビジネスにならないのだな、と変に納得しました。

これに関しては実は根深くて、その亜種として
「好きでやってるんだから利益とか別にいいじゃん」
とか
「宇宙で稼ごうとか無理」
という思想も生まれがちで、結果利益を生む活動を怠りがちになるように感じています。

ということで今の私の仮説は

「宇宙ビジネスは利益が生まれにくいわけではなく、宇宙ビジネスに取り組む経営者にとっては利益を生む活動の優先順位が低かった」

というところに落ち着いています。

利益はビジネスの目的ではなくて手段?

ここでふと、「アレ?ビジネスの目的ってそもそも何だっけ?利益じゃないんだっけ?」って思いに至るのです。
ドラッカーは事業の目的は顧客の創造と言っていました。売上や利益の額に拘らず、モノやコトを欲する顧客がいれば目的は達成されることになります。

とはいえドラッカーは、利益は事業を継続・発展させていく為に必要なものだ、とも言っています。
そりゃそうですよね。誰が給料払うんだって話ですし、一過性のものではなく持続的成長を続けることは経営者の責務でもあります。

であれば、利益はビジネスの目的ではなく手段として考えたほうが良さそう、ということになります。

あるいは「価値」という言葉を使うと解釈しやすいかもしれません。「利益をどのぐらいの優先度合いで価値と考えているか」による、という話かもしれません。利益よりも価値が高い(優先順位が高い)ものがあれば、それはそれでその企業の目指すところなのです。

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