概要
表紙の折り返しにある「偉大な企業はすべてを正しく行うが故に失敗する」という一文がこの本のすべてを語っていて、「破壊的イノベーション」に対処できない大企業の「ジレンマ」を著しています。
この本を読んでまっさきに感じたのは、「なぜ自分はこの本をもっと早く読まなかったのか」という後悔でした。自分が日々薄々感じていた所謂「大企業病」のようなものが、見事に言語化されていたからです。今回は図書館で借りて読みましたが、これは購入して熟読すべき本だと感じました。
破壊的イノベーションに対応できない大企業
この本は全部で十一章からなりますが、ざっくりいうと
- 第一部(第一章~第四章):ジレンマの説明
- 第二部(第五章~第十章):ジレンマの解決法
- 第十一章:まとめ
といった形になっています。
序章では以下のような原則が挙げられ、ほぼ第一部はこのことについて語っています。
- 【原則一】企業は顧客と投資家に資源を依存している
- 【原則二】小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない
- 【原則三】存在しない市場は分析できない
- 【原則四】組織の能力は無能力の決定的要因になる
- 【原則五】技術の供給は市場の需要と等しいとはかぎらない
これを自分なりにざっくり解釈すると、大企業は、顧客や投資家や経営陣を満足させる力が働くため、将来成長するはずの新しい市場や小規模な市場への参入が極めて難しい、ということだと思います。
本書では、ハードディスク・ドライブの市場を題材として、このジレンマ(優良企業がなぜ失敗するのか)について語っています。ここで、保有する技術の延長を持続的イノベーションとし、未知の技術領域である破壊的イノベーションと分けており、持続的イノベーションでは優位に立てた企業が、破壊的イノベーションに直面すると太刀打ちができない、ということを著しています。
破壊的イノベーションに対して必要なことは何か
新規事業創出活動への学びということで感じたことがあります。
本書を読んで、破壊的イノベーションを成功に導くためには、適切な組織の構築とともに、リソース配分や適切な検証と学習が必要なのだと感じました。
リーススタートアップやアジャイルも、実はこの検証と学習がキーワードとなっています。本書は増補改訂版が2001年、初版がそれ以上前に発行されたビジネス書としては「古典」ですが、実はその頃からこの検証と学習という概念は重要視されていたのだなと感じました。
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