【Book】仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

概要 

「仮説思考」とは何か、なぜ重要か、どのように養うのか、について、BCG(ボストンコンサルティンググループ)で長らく活躍する著者が自らの実践方法を元に記した本です。

なぜ「仮説思考」なのか

事業創出やイノベーションのためには、まずは「ネタ集め」をしようと考えます。ドメインのセグメンテーションは?顧客の課題は?市場性の規模感は?サービスのアイデアは?などなど。

しかし、ドメインやネタを広げようと無闇やたらと情報収集に精を出すと、それだけで時間や予算を使って疲れてしまいます。しまいには、「自分は何を目指していたんだっけ」ということにもなりかねない。
知的好奇心を満たすことは豊かな人生を営むには良いかもしれませんが、限られた時間の中で最大限のアウトプットを出すことを考えると、あまり効率的ではありません

また、自分自身の経験を言うと、「なんでこんなに情報量が多いんだろう」と思うぐらい、細かい文字でびっちりと書き込まれた企画・提案資料を社内外問わずよく見かけます。その凄まじいリサーチ力に感服する反面、「本当にそのリサーチは有効に活用されているのだろうか」と疑問を感じることも多いです。

そんな中、コンサルタントの方と話をしていた時に、やたらと「仮説」という言葉を使っていた事を思い出しました。
おそらく、この仮説という考え方が何かのヒントになるかも、そう思ってこの本を手に取りました。

仮説思考により迅速・正確に課題を解決する

冒頭、問題解決にあたって情報を網羅的に調べてから答えを出すことはリソース的に無理がある、と著者は説いています。「情報が多ければ多いほど良い意思決定が出来る」というのは、間違った思い込みだというのです。

そこで、あらかじめ「仮説」を立案して検証を行うことにより、迅速かつ正確に課題の本質を解明し、解決策を導き出すことができるようになるとされています。

ここで仮説とは「まだ証明していないが、最も答えに近いと思われる答え」と定義されています。

いわば、結論を先に「仮決め」して、そこから巻き戻って考えることにより、素早く問題の全体像をつかみ、無駄を極力減らしてゴールにアプローチする、ということになるでしょう。

新規事業創出への活用

この考え方は、新規事業創出においてアジャイルを適用した代表例であるリーンスタートアップの考え方に近いです。というより、リーンスタートアップのプロセス自体が仮説検証そのものだと思います。仮説思考を身につけることは新規事業創出活動のプロセスを理解することそのものだと、私は考えています。

言わずもがな、新規事業やイノベーションの不確実性は非常に高いです。何が答えかなんて、分かるわけがないです。そこで、現時点で最も答えに近いと思われる「仮説」を立てるんですね。

そして、その仮説の検証(実験)方法と検証指標(メトリクス)を明確化し、仮説→実験→検証、というプロセスを反復させる、これによって新規事業創出に一歩でも近づけるのではないか、と考えています。

なお、本書では「仮説の作り方に定石はない」としつつも、以下のような方法を提言している。

  • 分析結果から仮説を立てる
  • インタビューから仮説を立てる
  • ヒラメキから仮説を立てる

それぞれの具体的な手法は、ぜひ本書を読まれると良いでしょう。

余談ですが、私の専攻は宇宙物理学なのですが、物理学実験はまさにこの仮説検証プロセスそのものでした。この著者も工学部出身だし、先に挙げたコンサルタントの友人は航空宇宙工学出身です。おそらくコンサルタントに理系が意外と多いのは、こういったプロセスに慣れていることが起因しているのかもしれません。

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