【Book】ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム

概要

今回はこの2冊を合わせて読みました。「ジョブ理論」が本家で、「完全理解読本」がその副読本的な位置づけです。

「ジョブ」とは「片づけたい用事」

そもそも「ジョブ」とは何か、というのが一番最初に感じる疑問。

この2冊を読んで自分なりに一言で表現すると、ジョブとは「片づけたい用事」そして、その片づけたい用事(ジョブ)を片づける手段として、顧客は商品やサービスを購入する(これを本書では、商品やサービスを「雇っている」という言い方をする)、というのが自分の理解です。

例えば有名なミルクシェイクの事例が掲載されています。

あるファストフードチェーンにおいて車で通勤する人が良くミルクシェイクを購入している、という事象に対して観察を行ったところ、長時間の運転での「退屈しのぎ」に購入しているという人が多かったそうです。この時、

退屈をしのぎたいという用事 = ジョブ

  ↓その用事を片づけるために

ミルクシェイクを購入する = ミルクシェイクを「雇う」

という言い方が出来ます。

面白いのが、ミルクシェイクを購入する人の間に人口統計学的な共通要素は無かった、というところです。つまり、従来のデモグラフィック的な要素では説明がつきません。人を観察することによって始めて導出できるジョブが大切、ということです。これに対する示唆は、

相関はたしかに心地いい。重要な何かを見つけた気になって、マネジャーは安心していられる

という一言(皮肉?)に集約されています。

注意深く「観察」することがダイジ

なんとなく概念は分かったけども、よく使う「ニーズ」という概念との違いは何なの?という話になりますよね。本書では、

ニーズ:顧客が商品に向ける関心や行為などの現象

ジョブ:ニーズの源泉

という表現をしています。ジョブはニーズよりも上流にあるっぽいです。

そして、ジョブはニーズになったりならなかったりするようです。おそらくニーズを抽出するためにはジョブを観察することが大切だよ、ということだと思います。UXとかエスノグラフィーとかに共通する概念だと感じました。これについては、本書でも

人々の生活を注意深く観察して彼らの望みを直観し、それに従って進む

というソニー創業者の盛田昭夫氏の言葉とウォークマンについて引用しています。

事業創出活動への活用

さて、これが事業創出活動にどう活用できるのでしょうか。

ポイントは「観察」ということにあると思います。

技術視点で考えると、どうしても「この技術は何に使えるか」を考えがちです。そうではなく、人々の立場に立って観察する、ということに積極的に取り組んでみると良いかもしれません。

例えば宇宙事業であれば、宇宙ということからいったん離れて、いま人々はどんなジョブを持っているんだろう?どんな感情を持っているんだろう?ということに関心を持ち、くどいほど観察すると、なにかが見えてくるかもしれません。衛星データの農業利用がブームですが、真にどのような「ジョブ」があるかは、農家や卸売や小売(スーパーとか)の従事者と「一体化」しながら体験してみることが重要になってくるでしょう。

アジャイルには「ユーザーストーリーマッピング」という手法(考え方)があるのですが、これは文字通り「ユーザーのストーリーを考えてみよう」というアプローチです。ジョブ理論も、顧客のジョブを観察することが本質ですから、似たような考え方なのかもしれません。

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