データ分析初心者が『いきなりPython』で挫折する理由

データ分析のことを調べていると『Python』という言葉に出会うことが多いと思います。
そのため、「よし、データ分析を行うためにPythonを勉強しよう!」と意気込んでいる方も多いかと思います。
ですが、私は『いきなりPython』で挫折した方を何人も見てきました。
多くはこれまでプログラミングと縁の無かった営業担当者や課長以上クラスの管理職の方です。

なぜ『いきなりPython』で失敗するのか。
そして『いきなりPython』で失敗しないようにするにはどうしたら良いのか。
今日は皆さんがぶつかりやすい3つの壁について紹介したいと思います。

Pythonとは?

Pythonは「パイソン」と読みます。海外の方で「ファイトン」といった発音をされる方もいますが、日本ではほぼ「パイソン」で通ります。

Pythonはプログラム言語と呼ばれるもののひとつです。
プログラム言語とは、人間がコンピューターに何かものごとを伝えたり指示を出したりするときに使う言語のことです。

人間界でも、日本語や英語やフランス語というようにいろいろな言葉がありますよね。
コンピューター界も同じで、人間がコンピューターと対話する為に様々な言葉があります。Pythonの他に、C(シー)、Java(ジャバ)といった様々なプログラム言語が存在します。
それぞれ文法が異なり、対話する際のお作法も若干異なります。

ここまで読んで「そんなことは百も承知。プログラミングの経験もあるから大丈夫。」という方、そういう方は全く問題ありません。
Pythonでぜひデータ分析を始めてみてください!

もし、「ほう、Pythonとはそういうものなのか。」「プログラム言語というものがあるのだな。」と思った方は、ぜひこの後を読んでみてください。

「いきなりPython」でぶつかりやすい3つの壁

よく「データ分析を行うためにはまずはPythonを使ってみましょう」という紹介を見かけることがあります。
実は筆者も、これまでデータ分析の経験がない会社の同僚や取引先のお客様に対して、Pythonをおすすめして実際に取り組んでもらったことがあります。
しかし、多くの場合はうまくいきませんでした。
なぜか。
これまでの経験からいうと、大きく分けて3つの壁がありそうです。

壁にぶつかる

壁1:環境設定がうまくいかない

まず最初に現れるのが『環境設定の壁』です。

環境設定の壁

環境設定とは、プログラム言語をうまく実行できるようにするための事前準備のようなものです。
例えば、

  • Anacondaのようなソフトウェアをインストールする
  • numpy、pandasのようなライブラリをインストールする
  • VScodeのようなエディタをインストールする

などの作業を指します。
まず、ある特定の方にとってはこの『パソコンに何かをインストールする』という作業自体がレベルが高いのです。

例えば、Anacondaのインストール時に『パスを通す』という作業が必要になるのですが、慣れていない方には何のことかまったく分からないでしょう。
それがデータ分析とどういった関係かも理解できず、挫折してしまうのです。

壁2:エラーが発生して解決できない

次に現れるのが『エラーの壁』です。

エラーの壁

最初はお手本通りプログラムを書いたとしてもなかなかうまく実行できず、エラーが出力されたりすることが多いでしょう。
また、先ほど挙げた「環境設定の壁」が後になってきてエラーとして出てくるケースも多くあります。
動画学習サイトや書籍などで学んでいる場合、聞ける人もおらず、途方に暮れることになります。

壁3:モチベーションが続かない

環境設定がうまくいき、エラーが発生してもなんとか読み解いて改善できるようになったとしましょう。その次に出てくるのが『モチベーションの壁』です。

モチベーションの壁

「『Hello, World!!』と表示してみましょう。」とか、「1+2を計算してみましょう」とか、そういったところから始めるため、なかなか本来の『データ分析』までたどり着きません。
いったいいつになったら思い描いていたような『データ分析』が出来るのか・・・。不安に駆られるとともに、だんだんとモチベーションが減ってくることが多いでしょう。

ヘビに手を噛まれる前に

こうして、大きく3つの壁にぶつかることによって、多くの方は本来やりたかった『データ分析』にたどり着くことなく、挫折することになります。

事実、これまで「Pythonでデータ分析を始めてみよう」というした人のうち、筆者が確認できた限りでも7~8割ぐらいはこの3つの壁のいずれかにぶち当たって、断念しているように見受けられます。

余談ですが、Pythonとは英語で『ニシキヘビ』を意味します。
このようにうかつに手を出すとパクッと口を噛まれて痛い思いをしてしまうのかもしれません。

こういった痛い思いをした場合、データ分析に対する苦手意識を持ってしまうだけでなく、こういった研修を行った人材育成担当者や上司などに対する不満にもつながりかねません。「もう一度チャレンジしてみよう!」と能動的になれる人はなかなかいないでしょう。

ヘビに手を噛まれる前に

壁を取り除くにはどうするか

Pythonはあくまで『データ分析を行う』という目的を達成するための手段です。
そして、目的を達成できれば良いのですから、手段は柔軟に変えると良いでしょう。Pythonを使わずに、Excelを使ってデータ分析を行うということも一つの手です。

もしPythonを使う必要性に迫られた場合は、以下のようなことを意識してみましょう。

壁1に対してはColaboratoryの選択肢を考える

Google Colaboratory(コラボラトリー、略称「コラボ」)は、環境設定なしにすぐにPythonを書き始められる環境を提供してくれます。
本来環境設定は『やらなくてもよいもの』です(やっておいた方がパソコンの仕組みを理解できるのですが、それはあくまでも副次的なものです)。この『やらなくてよいもの』を省いてクラウド上で実行できるのがこの『コラボ』の最大の特徴です。

詳しくは、『ダウンロード』と『インストール』が不要な環境でデータ分析を始めよう!に記載しましたので、よろしければご覧ください

壁2に対しては聞ける人を募る

エラーが発生したときにはどうしたら良いか。こういう場合は詳しい人に聞くことが一番です。
初期に発生するエラーは、プログラミングについて理解しているシステムエンジニア(SE)であれば、だいたい解決できるでしょう。また、同じく初心者からプログラミングを始めた方などに聞くと、より親身になって教えてくれるかもしれません。
社内外でそういった人を1人でも良いので見つけておきましょう。

壁3に対しては『データ分析』でやってみたいことを考える

何事もそうですが、『やらされている』ことは長続きしません。
でも、Pythonを学んでデータ分析をやってみようと考えたのがもし皆さん自身であれば、皆さん自身にそのモチベーションを保つ権利があります。

ひとつの方法として、データ分析でやってみたいことを考えてみましょう。
例えば筆者の場合、所属している会社・組織の業績や原価率などを表にして表してみようと思いました。どのような事業がどのような収支になっているかを理解しておきたかったからです。
また、筆者はJリーグを観戦するのが趣味なので、Jリーグの観客動員数とクラブの成績の相関などを表してみたいとも考えました。
データ分析してみたいことは何でも良いと思うのですが、ただ単に「データ分析をしてみたい!」と思うだけでなく「●●のデータを分析してみたい!」と思う方が、より具体的なモチベーションに繋がるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
『いきなりPython』でぶつかりやすい3つの壁とその対処法について解説しました。
繰り返しになりますが、Pythonはあくまでも手段です。必ずPythonを使わないといけないというわけでもありません。
手段に悩んで本来の目的を見失うよりも、手段を変えて目的を達成できるように考えてみましょう!

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