データサイエンティストは「税理士」「探偵」「科学者」に似ている

ビジネスにおいてデータサイエンティストについて取り上げられることが増えてきました。
ただ、実際にデータサイエンティストに会ったことがない方は、「いったいどんな人なのか?」と疑問に思われる場合も多いかもかもしれません。
そこで、データサイエンティストを皆さんがよくご存じの職業に例えて解説してみたいと思います。

データサイエンティストは税理士に似ている

データサイエンティストは、税理士や会計士などの士業に似ています。

税理士のイメージ

最近ですと、クラウド型の会計ソフトやスマートフォンのアプリなどでますます会計が楽になりました。専任の税理士の方がいなくても経営が十分出来るような仕組みが出来上がりつつあります。

一方で、人間の税理士はとても大事な仕事を担っています。
それは、相手の話を聞いて課題を整理し、その課題を解決することです。
要は相談役です。

例えばあなたが、親の家業を突然引き継ぐことになったとしましょう。

そうすると、所得税や法人税や相続税などの税制について調べないといけません。どのような動産・不動産を持っているのか、関係者は誰なのか、銀行とはどのような関係なのか、などなど、お金に関することを徹底的に調べないと実態が分かってこないでしょう。

そういった個々のケースごとに対応が必要になる場合は、書籍やインターネットで得られる一般的な情報だけでは太刀打ちできない場合が多いです。
課題の整理すら出来ておらず「結局何が必要なんだっけ?」となる場合も多く、単に会計ソフトを導入しただけでは解決できません。
そのうち「誰かに相談したい」と思うようになるでしょう。そういった時に税理士が必要となるのです。

データサイエンティストも同じで、この相談役という役割があります。
「データ分析をしてみたい」と思った場合、その課題がきちんと整理されておらず、どうしたらよいかが分からないといった場合が大変多いです。
その時にデータサイエンティストに相談をして何をどうすればよいのかを紐解いてもらう、これが最初の一歩になるでしょう。

データサイエンティストは探偵に似ている

データサイエンティストは、探偵にもよく似ています。

探偵のイメージ

探偵は何か事件が起こった時、まずは現場で証拠を探します
舞台の照明を吊っていたワイヤーの切り口を見て鋭利な刃物で切られた痕跡であることを見つけたり、舞台裏の音響部屋に付け爪などの落とし物を見つけたりします。

そして、証拠をつなげて考えます
ワイヤーの切り口から考えて事故ではなく事件でありそうだ、付け爪を付けていた人物が音響部屋に入ったようだ、付け爪といえばAさんである、ということは・・・?というように、ひとつずつの証拠を繋ぎ合わせて連想していきます。

さらに、大勢の人たちの前で推理を発表します。よく推理小説などでもリビングに容疑者を集めて発表したりしますね。

つまり、謎解き役です。

データサイエンティストが活躍するビジネスの現場でも、実は同じようなことが行われています。
例えば販促施策を打ったのになかなか売上が上がらない、という”事件”が起きた場合。
まずは販促施策にかけた経費や実際の売上額などの証拠をつかみます。
次にその証拠を繋げて考えます。販促施策にかけた経費ほど売上額が向上していないのではないか?そもそも売上向上が販促の目的ではなかったのではないか?などと考えます。
そして、大勢の人たちの前で発表する。これは会議でのプレゼンテーションのシーンを思い浮かべればよいでしょう。

推理小説では、謎解きをしてみたら「なんだそんなことか」と思うような単純な仕掛けも多かったりします。でも、実際に謎解きされるまではまったくその実態が分からないといったことも多いですよね。

ビジネスの現場も同じで、様々な情報やデータが入り組んだ混沌とした状況では、その実態がまるで分からないといったことがあります。
しかし、データサイエンティストがひとつひとつ証拠を集めて状況を紐解いていくと、こんがらがって収集が付かなかった状態がひとつの紐でつながったような状態になったりします。
実際に謎解きをしてみると、「なんだそんなことか」と思うようなことかもしれませんが、その謎解きをすること自体にとても大きな価値があるのです。

データサイエンティストは科学者に似ている

データサイエンティストは科学者にも似ています。

科学者のイメージ

似ています、というか、「データ”サイエンティスト”」という名前を名乗っているのですから、科学者そのものですね。

科学者はよく”観察”や”実験”を行います。
ものごとの事象をありのままに見て気付きを得ること、これを「観察」と言います。
なにかとなにかを比較してその違いを見つけ出すこと、これを「実験」と言います。
科学者はこの観察と実験を繰り返しながら、事象の真相に近づいていくのです。

データサイエンティストも同じで、担当者にヒアリングをしたりデータを集めてきたりしながら、ビジネスの現場の状況をじっくりと観察します。
そして、AパターンとBパターンでデータを分けて収集して、その対比をする実験を行ったりします。
このようなことを繰り返しながら、ビジネス課題の真相を解き明かしていくのです。

科学者には、難しい科学の事象を一般の人にわかりやすく説明する役割もあります。
データサイエンティストも統計的仮説検定やLightGBMによる二値分類モデルといった専門的な知見を一般の人にわかりやすく説明することがあります。
観察者、実験者でありながら、科学の翻訳家でもあるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
データサイエンティストを、税理士、探偵、科学者といった職業に例えて解説してみました。
データサイエンティストという職業は比較的新しいもので、まだなじみが少ないかもしれません。本記事で少しでもイメージが出来れば幸いです。

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