概要
リーダーに求められる「他人力」とはどのようなもので、組織においてなぜ必要なのか、が記されています。
自分以外の他人が持つ力を認め、その力を生かす
この本は、「一人の人間ができることには限界がある」という一文から始まります。
そして会社や組織を伸ばすには、自分以外の他人が持つ力を認め、その力を生かす「他人力」が必要だ、と説いています。
考えてみれば、当たり前のことではあるんですよね。
自分一人の力でできることなら、会社や組織を作る必要はありません。それぞれの専門性を十二分に発揮し、さらにお互いの力を伸ばしあうことができるからこそ、会社や組織の存在意義があります。
ところが、日々の業務に忙殺されていると、このように当たり前のことを見失いがちです。この本は、その当たり前のことを改めて再認識させてくれるきっかけを与えてくれました。
自分力から他人力へ
他人力がある人の基本条件は、実力や実績もある上に、人望の高い人であることであり、周囲を巻き込んで結果を出すこと、だそうです。
著者は自分力にも重きを置いていて、「信頼と尊敬という自分力なしに他人力は得られない」とも述べています。
ここで、7つの習慣の「インサイド・アウト」を思い出しました。
言わずもがな自己啓発の名著で、7つの習慣の第1~第3の習慣は「私的成功」、第4~第6の習慣は「公的成功」と位置づけられています。
そして、私的成功の上に公的成功が成り立っており、内側(自分)から外側(他人)へ、つまり「インサイド・アウト」の方向性であるべきだ、と述べています。
この本でも、自分力を磨いてこそ他人力を効果的に活用する段階に入れるのだと教えているように感じました。
事業創出活動への活用
私は、イノベーションというと誰も考えつかないような斬新なアイデアをいかにして生み出すかが勝負どころだと思っていました。
ですが事業創出活動で出会った仲間と活動をしてみて、自分の提案する事業に対する思いをいかに情熱を持って周囲に伝え、理解をしてもらい、他人を巻き込み、応援してもらえるか、が、既存企業で新規事業を立ち上げるための最大のポイントなのではないか、と感じています。
同意と納得があってこそ意思決定がなされ、人が動き、予算も動くからです。
己のフィロソフィーを共有できるような「運命共同体」を作り、将来の組織をイメージできなければ、事業とはいえません。
その意味で「他人力」に重きを置いたリーダーシップというのは、ビジネスプロデューサーにとって非常に重要なスキルだと感じています。
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