概要
2018年時点での宇宙ビジネスに関して非常にコンパクトに網羅されている本です。
ロケット打ち上げといったスペースアクセスから人工衛星データの活用ビジネスまで、幅広く対応しており、宇宙ビジネスの外観を捉えるには非常に役立ちます。
キーワード
- アジャイル開発
- Apache Hadoopの活用
- イネーブラーとしての宇宙技術
アジャイル開発
私がこれまで読んできた宇宙関連本の中で、おそらく初めて宇宙におけるアジャイル開発について言及されていた書籍だと思われます。書籍の中ではプラネット(Planet)社が導入しているとの言及がありましたが、具体的にどのようなプラクティスを活用しているのかはこの本からは不明なので、別途調べました。
Planet社のアジャイル開発に関してはこちらの記事で言及されています。
Planet社ではDove衛星の寿命は3年程度であり、毎年新しい期待を打ち上げ、寿命を迎えた機体を引退させているそうです。これをAgile aerospaceと呼ぶのだそうです。
これまでのガッチガチのウォーターフォール型の開発とは全く異なる視点が面白いですね。あくまでもサービス提供を主眼として置いている点が注目されます。異業種からの宇宙参入は、技術だけでなく、プロセスという観点でも重要だ、ということが分かります。
これは、自分が思い描いていた宇宙利用事業のビジネスプロセスに非常に近いです。
というのも、仮説検証を繰り返すプロセスを宇宙利用事業に適用したいと思っていたからです。
1回作ったら終わり、PDCAサイクル回らない、大艦巨砲主義の宇宙開発ではなくて、きちんと仮説検証を短期間で繰り返しながら学びを深めていくプロセス、それをやってみたいと感じました。そのヒントがPlanet社にはありそうです。
Apache Hadoopの活用
衛星データの処理にApache Hadoopを使用しているとのことでした。
分散プラットフォームで、Hadoopの活用はISAS(宇宙科学研究所)が進めようとしていたのを聞いたことがあるのですが、実用化(というかビジネス応用)までには至っていなかったという理解でした。やはり海外は進んでる。
イネーブラーとしての宇宙技術
イネーブラーとしての宇宙技術という言葉はあまり聞いたことが無かったです。
イネーブラーとは、個人の成長・自立を促す反応パターンの事で、問題行動の意味でも使われるそう。
ここではおそらく、ビジネスを助ける技術という意味でイネーブラーという言葉を使用していると思われます。
今後の活動への活用
活用の仕方として、以下の3点を挙げておきます。
- 市場規模の把握
- 国内外の事例の収集
- 技術的調査
市場規模の把握
市場規模について、宇宙開発全体、ロケット打ち上げ(スペースアクセス)市場、人工衛星市場、衛星データ活用市場、などなどそれぞれのセグメンテーションについて断片的にまとめられています。
拾っていくと業界市場規模がある程度算出できそうです。
国内外の事例の収集
言わずもがな、ビジネス入門と言っているので、国内外の事例が詳細に紹介されています。
読んでいるだけでも勉強になるが、詳細はネットなどで補間しながら学んでいきたいですね。
技術的調査
宇宙関連事業に関する技術的な調査のキーワード収集に活用できそうです。
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