概要
本書では、ビジネスパーソンの「学び方」について言及しています。もともと東洋経済の電子書籍ベスト100みたいなので知った本で、著者の清水久美子さんは時々ビジネス雑誌でも名前を拝見する方です。
現代は、学び方や学ぶ姿勢でビジネスパーソンのキャリア、人生が決まる、としており、大人の学習法(アダルトラーニング)としての読書術、学びの効率・効果を高めるラーニングハックなど、様々なテクニックを紹介しています。
一般的な自己啓発本との違いは、コンサルタントとして数多くの事業を手がけてきたビジネスパーソンである著者だからこそ書けるエッセンスが散りばめられており、経験則に基づく方法論が展開されている点です。
人生100年時代における「学び」
冒頭、本書では「ライフシフト」を引用し、
- 60歳で定年を迎えて余生を過ごすような人生プランが通用していなくなっている
- 新卒で入社してから定年までの40年間を同じ会社で勤め上げることが難しい
- デジタル技術やAIの進歩により仕事のかたちは大きく変わる
ということを挙げています。
「若いときに学んだスキルで食べていく」ということがほぼ不可能であり、生涯にわたって学びを続ける必要がある、ということを説いています。
また、インターネットやスマートフォンなどの普及により、例えば海外の一流ビジネススクールの授業を通勤電車の中で視聴することが可能になったようなことに触れ、ビジネスパーソンが知識やスキルを学ぶ環境は格段に向上し、その結果、学ぶものと学ばないものの格差がこれまで以上に広がっていくと示唆しています。
この人生100年時代と学びの格差問題が、本書の執筆理由だそうです。
ラーニングジャーナルの効果
本書で提案されているのが、ブログによる学習のデータベース、ラーニングジャーナルの作成についてです。主な効果として、
- 検索の容易性:キーワード、テーマ、作成日時から検索可能
- インターネットへの接続:情報にリンクを貼ることが出来、第三者と情報交換も可能
- 記憶の定着:書籍の多読などの学びを得てから、ブログに落とし込む過程でアウトプットをすることで記憶の定着が高まる
私自身も書籍等から得た学びをこのようにコラムにすることで整理しているのですが、一番効果的だと感じているのは、インプットを復習する機会を設けること、です。
フォーラムにしろ読書にしろ人との会話にしろ、「へー」と思ったことをそのままにしないことは非常に重要で、ここに学びのタネがあると感じています。
学びの4つのステップと事業創出への活用
本書では、学びには4つのステップがあると言っています。
- 概念の理解
- 具体の理解
- 体系の理解
- 本質の理解
この時、学びが失敗する典型的なパターンは「概念の理解」で躓くこと、または「具体の理解」でやめてしまうことだそうです。「体系の理解」まで行って初めて、バリューを生んだり稼ぎを生むレベルに到達できるのだという。
私はわりと関心の感度が高く様々なことにアンテナを張って吸収しようという気持ちが強いのですが、その時それぞれの学びが「概念の理解」や「具体の理解」レベルになっていると、学びとしては失敗である、ということなんですね。
「風呂場の水をためる」という話と同じで、そこに時間を使って吸収したつもりになっても、やがて水が抜けていってしまえば、いつまでたっても満杯になることはない。
おそらく、やるからには徹底的にやること、そして「学び」を得ることにこだわることが必要なんだと感じました。そういう意味で、コラムに書き溜めるとことで、時々自分自身も読み返して思い出すことが出来るのは良いことかもしれません。
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