【BOOK】アントレプレナーの教科書

概要

アントレプレナー(起業家)必携の必読書と謳われる本です。
私が読んだのは2016年発行の新装版の方ですが、2009年発行の「初代」の方が有名です。
新規事業開発における顧客開発の重要性が繰り返し説明されており、顧客発見、顧客実証、顧客開拓、組織構築、という4つのステップが紹介されています。

(本書の原題も「The Four Steps to the Epiphany」となっています)

製品開発と顧客開発を同期させる

本書では、「製品開発」と「顧客開発」を対比させて語っています。

スタートアップが従来の製品開発モデルを適用させると10個の大きな欠点がある言い、代替案としてテクノロジー・ライフサイクルを引用し、製品開発に並行するプロセスとして顧客と市場に軸足を置いたプロセスモデル(顧客開発モデル)を紹介しています。

大切なのは、顧客開発と製品開発は並列のプロセスであり、手を取り合って進めるべきだというものです。なぜなら、スタートアップは未知の顧客に合わせて製品開発をしなければならないからです。

これは非常に同感であるとともに、日本の大手企業において新規事業を立ち上げるにあたっては、大きな壁だと感じました。というのも、既存企業においては、製品開発と顧客開発は基本的に部署が異なる別動隊であり、それぞれ異なるプロセスとして動いていることが多いからです。よく言われる「技術」と「営業」の分業化です。果たしてこのような環境で同じプロセスが回せるのでしょうか?

合意を得ることの重要性

これに対する疑問は、本書を読み進めることですぐに解決されました。

顧客開発プロセスの第1ステップ「顧客発見」の一番初めの第0フェーズとして、「合意を得る」があったためです。

創業者、主要な経営幹部、取締役など、すべての関係者が製品開発と顧客開発の違いを理解し、それぞれ個別に扱う価値を認識しなければならない、そしてそのために、ビジョンを文書化して明確にする「ミッションステートメント」を掲げると良いと書かれています。

「ミッションステートメント」は、経営理念や価値観といったもので、『7つの習慣』でも記載されています。『7つの習慣』では、自分なりのミッションステートメントを作るプラクティスを提唱しています。

自社の存在理由や目的、価値基準を透明化することは、スタートアップにとって一番に必要なことなのかもしれません。 特に、危機的状況や混乱状況においては、何に頼るのかがはっきりしておいた方が良いでしょう。

4つのタイプと4つのステップ

すべてのスタートアップが同じであるかのように考えるのは間違いであり、あるスタートアップでうまくいった戦略や戦術がほかのスタートアップでも通用するという考え方も誤りである、と指摘したうえで、本書では4つの市場タイプを定義しています。

  • 既存市場参入
  • 新規市場創造
  • 既存市場再セグメント(低コスト化)
  • 既存市場再セグメント(ニッチ)

私はこれを読んで、アンゾフの成長マトリクスを想起しました。

「アンゾフの成長マトリクス」
新型コロナウイルスの感染拡大により「経営環境が大きく変わってしまった」との声を、事業者のみなさまからよく聞きます。第四波の到来など、今後の見通しも不透明ななかで、環境変化に不安を抱えている経営者も多いのではないでしょうか

顧客開発のモデルは以下の4ステップに分かれるそうです。

  • 顧客発見
  • 顧客実証
  • 顧客開拓
  • 組織構築

以降、本書では第3章~第6章にわたって、それぞれのステップにおけるプロセスについて詳細に記載されています。

特筆すべき「付録」たち

本書で特筆すべきは、巻末の参考文献の紹介です。
各分野にわたって充実しており、それぞれの文献を辿るとさらに知識を深められます。スタートアップ関連から経営理論、生産方式、企業文化、果ては軍事戦略まで様々紹介されています。宮本武蔵の五輪書を紹介しているのを目にしたときは、少し誇らしい気持ちにもなりました。
私もまだ読めていない本が多いので、ここからさらに「知の冒険」を広げていきたいと考えています。

また、本書は購入者特典としてAppendixをダウンロードできるようになっています。
顧客開発部隊についてのより詳しい補足説明と、顧客開発のためのチェックリスト例となっており、こちらも今後活用できそうです。

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